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情報量が少ないのは魅力

辻川:普段映像で撮るものにくらべて圧倒的に情報量が少ないことが魅力的なんです。

──「少ないのが魅力」というのは、8Kの高解像度時代を目前に情報量を求める傾向において面白い発言ですね。

辻川:少ないっていうのは魅力なんです。この点で画を描くようなポイントクラウドは、それ自体が一つの表現になりうるんです。同じようなことで言うと、レディオヘッドのMV「House of Cards」。あれってようするに、”隙間の開いている点描でエラーを含みながら記録している”という様子がすごく詩的じゃないですか。不完全な映像だからこそとても詩的に見える。2008年に作られた「House of Cards」から随分時間もたっているし、テクノロジーも進歩しました。今回の挑戦でまた別の質感が獲得できると踏んだんです。

映像の技術っていうものは、過渡期にあるものを使うと数年後には古く見えてしまいがちなんですね。だけど、逆に「荒々しくて情報が少ない」ってところを表現の落とし所に設定しちゃえば古びないんです。要するにこれが「魅力的」と最初から位置づける。魂が見ている世界であり、このライブが祭祀だと設定し、ポイントクラウドの隙間だらけの映像を、これは魂が知覚している世界なんですよと位置づけることで、感情に響くものになるんだろうという予測がありました。

なるほど、俳句や短歌のように限られた情報で描くのは詩的なのだな。 で、点人間(バイオロジカルモーションという技法)は、ある種人間の情報を限りなく削って人間らしさのみが残った表現。

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